ザクっとわかるZEH(1)住宅は「省エネ劣等生」

ZEHビルダー登録者数は4297件(2017年2月1日時点)を数え、日本のZEHは普及期に向け軌道に乗り出した。この動きを順風とするため、改めて、ZEHの考え方とつくり方を整理してみたい。まず、ZEHが求められた背景を探ってみよう。

最初に、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の大枠を把握しておきたい。

ZEHとは「室内外の環境品質を低下させることなく、高断熱外皮、高性能設備による可能な限りの省エネルギー化と再生可能エネルギーの導入により、年間での一次エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロ、またはおおむねゼロとなる住宅」のこと。そのスタートは2014年の「エネルギー基本計画」の閣議決定にさかのぼる。その経緯と背景を簡単に説明しよう。

ZEHロードマップ(資料:経済産業省 資源エネルギー庁)
ZEHロードマップ(資料:経済産業省 資源エネルギー庁)

「エネルギー基本計画」で政府は、2020年までに「標準的な新築住宅」で、2030年までに「新築住宅の平均」で、ZEHの実現を目指す政策目標を設定した。その後、2015年12月に策定されたZEHロードマップにおいて、2020年までに住宅メーカー、工務店などが施工する新築住宅の過半数がZEHとなることを目標に定め、「エネルギー基本計画」の目標を具体化している。

背景には、増加傾向にあった家庭部門のエネルギー消費を抑える目的があった。家庭部門のエネルギー消費は、利便性と快適性を追求する生活スタイルの変化や社会構造変化の影響を受け、石油危機の1973年の消費量を100とすると、2000年には約220にまで拡大。その後、1999年の省エネ基準全面改正、住宅エコポイントなどが奏功して2014年には196まで下がった。
しかし、部門別に見ると、産業部門が1973年から14年で、最終エネルギー消費量を2割も減らしたのに対し(GDPは2.5倍増加している)、家庭部門は2倍と倍増している。エネルギー需給安定や地球温暖化対策に向け、住宅の省エネへの取り組みは必要不可欠だった。

日本のエネルギー消費の状況
日本のエネルギー消費の状況。総合エネルギー統計、国民経済計算年報、EDMCエネルギー・経済統計要覧を基に作成(資料:経済産業省 資源エネルギー庁)

2016年11月、日本政府はCOP21で採択された「パリ協定」の受諾書を国連事務総長に寄託。京都議定書に代わる、地球温暖化対策の新たな国際枠組みに批准した。

日本は2030年までに、温室効果ガスを26%(2013年比)削減する約束草案を提出し、その目標達成に向けて「地球温暖化対策計画」も閣議決定されている。ZEHロードマップは、こうした国際的な気候変動対策の動きとも連動している。

世帯当たりのエネルギー消費原単位と用途別エネルギー消費の推移
世帯当たりのエネルギー消費原単位と用途別エネルギー消費の推移。「動力・照明他」のコンセント電源と「冷房」のシェアが増加傾向にある。一般家庭用の電気料金は、2015年時点で震災前の2010年前に比べ約20%上昇しており、経済的な負担も重くなっている。日本エネルギー経済研究所「エネルギー・経済統計要覧」、資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」、総務省「住民基本台帳」を基に作成(資料:2015年度エネルギーに関する年次報告「エネルギー白書2016」)

(日経アーキテクチュア「省エネNext」の2017年2月6日公開のウェブ記事を転載)


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