1200台分の駐車場をメガソーラーに 村田製作所No.1ソーラーパワープラント(前編)

 パネル8010枚、システム容量2403kW。岡山村田製作所(岡山県瀬戸内市)に駐車場を利用したメガソーラーが誕生した。両面から発電できる太陽光パネルで効率を高め、年間275万kWhの発電を見込む。

 

 工場に隣接した1200台分の駐車場に、太陽光発電パネルの片流れ屋根を架けたカーポートがずらりと並ぶ。岡山村田製作所の駐車場だ。親会社の村田製作所(京都府長岡京市)が導入し、2020年3月にシステムを稼働させた。固定価格買取制度(FIT)の認定を受け、全量を売電している。

 

 「電子部品を開発製造してエネルギーを扱う当社グループでは、以前から気候変動を踏まえたエネルギー負荷の低減に取り組んできた。今回は工場に隣接する用地を購入して工場敷地内にあった駐車場を移転させ、メガソーラーを導入した」。村田製作所企画管理本部管理グループファシリティ部の坂田繁寛部長は経緯を説明する。

 

 敷地は、南北の縦軸と東西の横軸を組み合わせたL字形状となっている。ここに、屋根部分がおよそ18.5m×11.7mのカーポートを約60棟並べた。屋根となるパネルは、敷地の縦軸部分には南向きで、横軸部分には東向きで片流れ形状にそれぞれ架けている。12本の柱で支える各カーポートには、屋根傾斜の方向に沿って出入りするよう配置した14台分の駐車スペースを設けた。

 

 今回採用したトリナ・ソーラー製の太陽光発電パネルの総数は8010枚に及び、初年度推定では年間275万kWhの発電量を見込む。村田製作所によると、「一般家庭600世帯以上分の消費電力に相当する日本最大級の駐車場型メガソーラー」だ。設計・施工はオムロン フィールドエンジニアリング(東京都目黒区)が手掛けた。

 

岡山村田製作所の駐車場型メガソーラーシステム。工場建物が立つ敷地とは道路を介して接し、高架橋でつないでいる(写真:村田製作所)

裏面からも発電できるトリナ・ソーラー製の太陽光発電パネル(写真:村田製作所)

 

上面も下面も発電

 

 システムの特徴は、上面だけでなく下面からも発電できるパネルを採用した点だ。「両面パネル化によって発電量が6%アップし、投資コストの早期回収に結び付けられた」と、村田製作所企画管理本部管理グループファシリティ部施設課の勝間篤チームリーダーは話す。

 

 パネルは周囲に枠がなく、端部がガラスのままとなるシンプルな納まり。「雨天時には雨水が片流れに沿って流れ、パネル表面の汚れを落とす。汚れによる発電効率の低下を抑えられる点も枠のないデザインのメリットだ」(勝間氏)

 

 カーポートは、駐車場としての使い勝手を考慮した配置としている。例えば、屋根の向きは全て南向きにしたほうが発電量は増える。当初は全て南向きに設置することを考えたが、駐車スペースを効率的に配置できるよう検討した結果、半数以上を東向きにした。

 

使い勝手を踏まえてカーポートを配置したため、片流れ屋根の傾斜は南向き(右手奥)と東向き(左手前)になった(写真:村田製作所)

 

 屋根の傾斜は11.4分の1(約5度)だ。これも、発電効率だけを考えると25度程度の急勾配のほうが良い。「しかし片流れ屋根をこの角度にすると最高部分が高くなり過ぎる」(オムロン フィールドエンジニアリングコンストラクション本部EM設計施工部の神林修経営基幹職)。カーポートとして無駄の生じない形状などを勘案して傾斜を設定した。

 

 法規への対応も欠かせない。土地の上に直接設置する太陽光発電システムのなかでも、駐車場は法規面での制約が大きい。架台の下を作業や倉庫など何らかの屋内的用途に活用する場合、一定条件を満たす農業利用を除いて建築基準法上の建築物として扱うことになるからだ。一定規模以上の新築は建築確認申請の対象になる。構造安全性などの確保のほか、消防法で求められる諸規定への対応も必須だった。

 

 「それぞれのカーポートには1枚あたり25kgのパネルが126枚載り、3トンを超す重さになる。構造計算で必要な柱の本数を確保したうえ、足元の基礎もしっかり固めた」とオムロン フィールドエンジニアリングコンストラクション本部EM設計施工部の渡辺和嗣氏は振り返る。各棟を駐車スペース14台分ごとに分割したことで、設置する消火設備も最小限に抑えた。

 

屋根の水上側は地上4m程度の高さ。構造安全性を重視して設計した(写真:村田製作所)

 

 村田製作所は引き続き、岡山村田製作所の工場敷地内にある500台分の駐車場にも太陽光発電システムを導入する。今回と同様に両面パネル方式を採用し、2021年2月に稼働予定だ。容量1299kW、初年度推定の発電量は116万kWhで、稼働中のシステムと合計した発電能力は現在の1.42倍になる。

 

 いずれの太陽光発電システムにも、発電状況の遠隔監視と保守を連動させたオムロン フィールドエンジニアリングのオペレーション&メンテナンスサービス「ソラモニ」を導入。全体の完成に合わせて、リアルタイムで発電量を示すモニターを工場内の来客スペースなどに設置する予定だ。

 

建築概要

村田製作所No.1ソーラーパワープラント

 

所在地:岡山県瀬戸内市

地域区分:6地域

建物用途:駐車場

構造・階数:鉄骨造・地上1階建て

システム容量:2403kW

設置枚数:8010枚

発注者:村田製作所

設計・施工者:オムロン フィールドエンジニアリング

完成:2020年3月)

 

(日経クロステック「省エネNext」公開のウェブ記事から抜粋)

 


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