ザクっとわかるZEH(3)ZEHは「お得」か?

建て主にネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)を勧めるには、エネルギー需要安定や温暖化対策だけでなく、実質的なメリットを伝えることも必要だ。ZEHで暮らす利点とは何か。経済性、快適性、健康維持・増進の視点からZEHの特長を整理してみよう。

 

ZEHでは、ゼロ・エネルギーと光熱費ゼロは必ずしも一致しない。ただ、ZEHの年間光熱費を試算すると大幅な削減が可能であることは一目瞭然だ。
下の表を見てほしい。左の「CASE1」は鉄骨造2階建ての戸建て住宅から木造平屋建てのZEHに、右の「CASE2」は鉄筋コンクリート造のマンションから木造2階建てのZEHにそれぞれ住み替えたケースだ。

今の住まいからZEHに住み替えた場合の年間光熱費の差額。左が「CASE1」、右が「CASE2」
今の住まいからZEHに住み替えた場合の年間光熱費の差額。左が「CASE1」、右が「CASE2」(資料:資源エネルギー庁

 

床面積がほぼ同じ「CASE1」では、年間約16万円(月平均約1万3000円)を削減できた。「CASE2」は、床面積は2倍に増えているのに、年間約20万円(月平均約1万7000円)の光熱費を削減できた。なお、ZEHの年間光熱費は、電力料金、ガス料金の支払い額から太陽光発電による売電価格を引いて算出している。

また、ZEHはエネルギー自立化によって、電力需給が逼迫することがあっても、住宅単位での対応が可能になる。防災・減災性能の向上もZEHのメリットといえる。

前回の記事「ZEH基準は省エネ基準より厳しい」で説明した通り、ZEHの断熱性能は、現時点の省エネ基準よりも2割以上強化されている。これよって快適で健康的なライフスタイルを送るためのさまざまな効果が期待できる。

 

断熱性能が高い家は、冬、暖房している部屋としていない部屋の室間の温度差が小さく、ヒートショックのリスクが軽減できる。また、壁の表面温度が下がりにくいため、同じ室温でも体感する温度はより高く感じられる。そのため、低めの暖房設定でも快適に過ごすことができる。体感温度は、壁などの表面温度と室温を足して2で割った数値が目安になる。

一方、断熱性能が低い家は、室内の壁・床・窓の表面温度が低くなり、冷放射の状態になって、体感温度も下がる。そのため、同じ室温でも寒く感じることがある。

ZEHに暮らす人に、「ZEHは快適か?」と聞いた結果
ZEHに暮らす人に、「ZEHは快適か?」と聞いた結果(資料:環境共創イニシアチブ「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業 調査発表会2015」)

 

近畿大学建築学部の岩前篤教授らが、2009年9月~10年1月に転居した約2万人に調査した結果によると、転居後の住宅の断熱グレードが高い場合、気管支喘息、のどの痛み、アトピー性皮膚炎などで症状の改善率が高く、高断熱住宅には健康改善効果が見込めることもわかった(下のグラフを参照)。

高断熱化による健康改善効果
高断熱化による健康改善効果。断熱グレード「3」は「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく住宅性能表示制度の断熱等性能等級3(熱損失係数:Q値4.2)、「4」は同等級4(Q値2.7)、「5」はQ値1.9を指す(資料:近畿大学理工学部(現建築学部)建築学科の岩前篤教授の調査資料。「安全な住環境に関する研究会(2008年9月、08年12月~09年1月)」、「健康維持増進住宅開発委員会(09年9月~2010年1月)」)

 

断熱性能の向上には、アレルギーの発生を抑制する効果も期待できる。断熱性能が低い住宅は、表面温度が下がる北側の壁面などが結露しやすく、カビが生え、そのカビを食べるダニが発生し、その死骸やふんがアレルギーの原因となる例が多い。断熱性能が高いZEHは、湿度をコントロールすることで、結露やカビの発生を軽減することができる。

 

(日経アーキテクチュア「省エネNext」の2017年2月24日公開のウェブ記事を転載)


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